今回のMVPはぶっちぎりでナポリの金戸さん

先日、GRAPEVINEのツアーファイナル、ZeppTokyo公演に行ってきました。

実は初日の渋谷AX公演にも行っていました。

(本当は横浜公演も行きたかったのですが金銭的な問題で以下略)

 

人間ってあまりにも感動したり本当に好きなものに対しては、「すっっっっっっごい良かった」とかしか言えなくなるんですね。ライヴ終了後にお知り合いの方と感想を言いながらゆりかもめに乗って帰ったのですが、言語中枢が完全に消失して「いや…良かった。本当に良かった……」と水野晴郎ばりにいやぁバインって本当に素晴らしいものですね状態でした。

 

以下、セットリスト等も交えつつ、ライブレポ的なものを。

 

 

 

 

なしくずしの愛 
冥王星 
I must be high 
迷信 
マリーのサウンドトラック 
うわばみ 
コヨーテ 
ピカロ 
Wants 
Pity on the boulevard 
1977 
It was raining 
太陽と銃声 
われら 
虎を放つ 
NOS 
白日 
ナポリを見て死ね 
片側一車線の夢 
無心の歌 
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Darlin' from hell 
Reverb 
フラニーと同意 
真昼の子供たち 
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作家の顛末

 

 

 

ファイナルのセットリストはこんな感じでございました。

初日もナポリや作家はやっていたんですが、ツアーが進んでいくうちに徐々に色んな曲が追加されていく様を見ては羨ましくてギリギリと歯軋りしていました。が! ファイナルはファイナルで、各会場の日替わり曲を良いとこ取りしたようなセットリストにクラクラさせられました……。やだもうわかってらっしゃる!!! 〈It was raining〉とか地味にレアだな〜、梅雨の時期だからかしら。

Wアンコールで作家終わりということで、「なんかモヤっとする!」「えーこれで終わり?」といった声を会場でちらほら耳にしたのですが、個人的にはそれが、“愚かな者の語ること”という旅の物語の、エンドロールのようでとてもドラマティックに感じたので、これはこれでなかなか良いのでは! とひとりニヤニヤしておりました。他にも、「『せっかく真昼の〜で爽やかに締めたのにお前たちが2回もアンコールするから!』っていうバイン側のジョークなんじゃないか」という意見も聞いて、まあそれもそれで彼ららしいなと(笑)。

 

ここ8年ほど、毎年2〜3本はバインのライヴを観ているのですが、今回は久々に爽快な抜けのあるちょっとアーバンなアルバムだった(気がする)というのもあり、ツアーもなんというか、客が置いてけぼりになるずも〜んとした重い空気じゃなくて(いや、勿論そういうライヴも大好きなんですけどね)、終始ニコニコしながら観られるような雰囲気でした。

去年一昨年辺りから、田中が必ず、

「もはや自分たちは盛り上がるとか盛り上がらんとかそういう次元のライブをやっていないので」

って言うんですが、なんでしょうね、あの5人の演奏を温かく見守る授業参観のような感覚は(笑)。こう、各自のキメ部分とかソロパートになると、心の中で「ガンバレ!」ってハラハラする感じ。“今日のアニキ”の後にみんなでワーッて拍手しちゃう感じ。閑話休題、その後に続く言葉にハッとされたというか、じーんときたというか。

「多分、今日2000人くらいのお客さんが来てくれてはるんかな。自分たちのことをよう知ってる人も知らん人もおるやろうけど、2000人が2000人、それぞれ違う解釈で違う景色が見えてると思うんで、俺たちは頑張って素敵な演奏をするので楽しんで帰って下さい」

って。つくづくバインらしいなあというか、こういうバンドだから一生掛けても着いていきたいって思うんだろうなあ。

あと、私がライヴを見始めた頃はまだギリギリちょっとだけぶっきらぼうな時代のバインで、年を重ねるにつれ田中の性格がもうメキメキと丸く?おだやかに?まろやかに???なっていく様を体験しております。演奏しながら、歌いながら、本当によく笑うようになって、MCで冗談とばしたり、ちょけてみたり、昔だったら考えられんわな、と。様式とか、外聞とか、そんなの関係なく、本人たちが純粋に音楽を楽しんでいるっていうのが観てるだけで伝わってきて、凄く幸せです。ライブでのアレンジやアドリブの遊び的な部分も増えて、それをやっている様がまたすごく楽しそうで。こういうところもちゃんとお客さんに届いてるのは嬉しいなって思います。

 

MCでは「おっだいばー!」を連発。相当お気に入りだったご様子。

「久しぶりにZeppでやるってことで、いつぶりやろ? って楽屋で話しててんけど、年寄りばっかりなんで思い出せませんでした!」

「(最前列を指差しながら)この辺におる人たちも皆年寄りやろ、若い子たちは俺から見えへん位置におんねやろ」

って皮肉ってましたが、あなたの斜め前に平成生まれのゆとり世代が居ましたよ、田中さん。

あとは〈うわばみ〉終わりに、

「渋谷AXでも言いましたけど、4月に新しいアルバムが出まして……まっさかまーだ買ってない人はいらっしゃらないと思いますが! さっきやった曲『バミ(巻き舌で)』っていうんですけど、今みたいな曲ばかりが10曲入ったアルバムになっております(半笑い)。持ってないって人は外の物販で売ってるので、『バミ(巻きry)入ってるアルバムください』って言って買って下さい」

というMCもあったり。「バミ(巻ry)」の破壊力がハンパ無かったです。会場大爆笑。

〈うわばみ〉つながりで、音については、教授ゾーンの楽器増殖はある程度落ち着いたけど、各人飛び道具的なモノが本当に増えてましたね〜。初日のAXで、金やんの前にシンセが置かれてたのは本当に驚きましたが……。あれの登場により、〈われら〉のライブ化けが凄かった気がします。かっこよかった。教授のサンプラーさばきも格段に技術や使いどころが良くなっていて、ナイスタイミングで面白い効果音をつけていたのも非常に印象的でした。全体的にアルバムの再現度が高かったと思います。

あと初日と最終日を比較すれば、田中のブルースハープさばきも様になってたというか、慣れていたというか。歌詞が飛ぶこともままありましたが(そりゃあれだけ曲があればね……)、チャーミングな笑顔で誤摩化しちゃうのは本当にずるいなあ(笑)。

終盤の曲のイントロで、金やんが両手の人差し指にすっごい小さいシンバル?ドラ?みたいなのをぶら下げて、「チリーン」っていう効果音を付ける場面があったんですが、私の周囲に居た10人くらいの人たちが声揃えて「地味!!!」って言ったのが凄く面白かったなー。あれは本当に地味だった…180cm近い手足の長いモデル体系のおじさまが、直径5cm程の平たい鐘を両人差し指にぶら下げてひたすらチリーンって鳴らすだけの凄く地味な様子がもう。金戸ファンには垂涎もののご褒美でした(ちょっと言ってる意味がわからないですねすみません)。

亀ちゃんは相変わらず鍛えられたボディで一切無駄の無いドラミングをしていて、もう平伏すしかないですわ。土に埋まるレベルで土下座ですわ。集中しすぎて田中が亀ちゃんの方見て合図送ろうとしてるのに全然気付いてない時ありましたわ。天才的なトラックメイカーでドラムも完璧だなんてもう本当に…なんなの……麦わら帽子が似合ってました。

普段あまり笑わないアニキも、時折ニコニコした表情を見せたり、田中と掛け合いしたり、モニタースピーカーの前に出てきて煽ったり、楽しそうでしたね。“本日のアニキ”もキマってたし、本当に黙々と、職人みたいなギターを弾く人だな、と思います。

 

あと何といっても、懐かしめの曲をやった時のじーんとくる感じ。

〈白日〉は5人になってからも数回聴いていますが、改めて、今のバインで聴く〈白日〉もなかなか乙なもんだなあ、って思わされました。リーダーが居た頃、若い頃のガッとくる勢いは無いけれども、今のバインでしか出せない音もとても素敵なわけで。

「じゃ、懐かしい曲やりまーす」

で、イントロが鳴った瞬間、会場が「ギャーーー!!!」ってなったからね。

みんな〈白日〉大好きだな〜。私も勿論、叫びましたが。

 

うーん、文章があっちこっち行って全く纏まりませんが、16周年、結成20周年の今年もどこまでも面白いことをやってくれそうな兄さん方。次回はまさかの、16周年記念ライブ(笑)の渋公! どこまでも着いていきたいと思います。それまで頑張って生きよう。

 

 

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余談ですが、今回までのツアーやライヴで聴いた曲を数えたら、142曲でした。

アレンジ違いや歌詞違い、再録を含めたら200曲くらいあるはずなので、まだライヴで聴けてない曲が60曲もあるんだなぁ……と気が遠くなりました。

果たしてメタモ、lamb、6/8、羽根(実は聴いたことが無い!!!)を聴ける日はやってくるのか……?

もういっそ、1回のライブでアルバム2枚ずつくらいの完全再現ライブやってくれないかなー、7daysくらいで……そしたらイデア、サキュレタ、デラシネ、Lifetime辺りは絶対行くのになー。いや、全日行くかな。